転職市場に変化?35歳転職限界説が過去のものに
景気回復の傾向が鮮明になってきており、その裏で活況を呈しているのが転職市場です。転職サイト「doda」の『転職求人倍率レポート(2018年1月)』によると、2018年1月の求人倍率は2.35倍で、2008年の調査開始以来、過去最高値を更新しました。ここ最近の「doda」の求人動向を見ても、求人数はリーマンショック以降増加傾向にあり、転職市場の盛り上がりがわかります。
そしてこの求人の増加は「転職の限界は35歳」という転職市場で一般化していた通説にも影響を与えています。
過去10年間の転職成功者の平均年齢の推移をみると、男女ともに上昇傾向にあります。
転職成功者の平均年齢(「doda」調べ) | ||
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2007年下半期 | 2017年下半期 | |
男性 | 29.6歳 | 32.7歳 +3.1歳 |
女性 | 27.6歳 | 29.7歳 +2.1歳 |
全体 | 29.1歳 | 32.1歳 +3歳 |
この結果に加え、注目したいのが、転職成功者の年齢別の割合です。
転職成功者の年齢別割合(「doda」調べ) | ||
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2007年下半期 | 2017年下半期 | |
40歳以上 | 2.9% | 15.5% +12.6% |
35歳~39歳 | 8.0% | 13.1% +5.1% |
30歳~34歳 | 29.1% | 23.8% -5.3% |
25歳~29歳 | 48.4% | 38.1% -10.3% |
24歳以下 | 11.5% | 9.5% -2.0% |
ここで目を引くのは、40歳以上の転職成功者の割合が、10年の間で5倍以上になっている点です。同時に、35歳~39歳までの転職成功者も増加傾向にあります。これらの数値を見ても、35歳転職限界説は既に過去のものになっていると言えるでしょう。
それでは、転職成功者の平均年齢が高いのはどのような職種への転職でしょうか?
2017年下半期 職種別転職成功者の平均年齢(「doda」調べ) | |
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技術(建築・土木) | 35.7歳 |
企画・管理 | 35.0歳 |
専門職 | 34.1歳 |
技術(機械・電気) | 33.1歳 |
技術(IT・通信) | 32.8歳 |
技術(医療・科学) | 32.2歳 |
クリエイティブ | 31.6歳 |
事務・アシスタント | 30.5歳 |
営業 | 30.2歳 |
販売・サービス | 28.8歳 |
このデータを見ると、技術(建築・土木)が突出して高く、そのほかの業種を見ても技術系の職種で平均年齢が高くなっています。一方で、営業や販売・サービスなどに関しては、転職者の平均年齢は比較的低い傾向があります。
それでは次に、このデータから企業が、35歳以上転職希望者のどのような点に着目しているのかを考えてみます。
35歳以上の転職が成功するポイントとして、まず第一に挙げられるのが「高い専門性と実務経験」です。
doda内の転職成功者のデータでは、比較的短い期間でキャリア形成を行い、ポテンシャルを重要視する職種(営業、販売・サービスなど)は、20代の転職者が多く、中・長期的にキャリア形成を行う専門性の高い職種(技術職など)では、35歳以上の転職が多い傾向があります。
この背景には専門性が高い職種の深刻な人材不足があると考えられます。特に、建築業界では、経験のある人材の不足が深刻な問題になっており、それが35歳以上の転職成功者の大多数を、技術(建築・土木)が占める理由になっていると言えるでしょう。
例外として、35歳以上転職成功者の職種のうち、上位に位置している事務・アシスタントは、技術職ほどの高い専門性や実務経験は必要ないように思われます。dodaによると「近年、派遣社員で構築されることが多い事務・アシスタント職に、正社員として転職する人には、英語力や業界の専門知識など高度な技術を採用側は求めている。また、その派遣社員を管理するマネジメント力も必要なため、採用年齢が上がっている」と解説しており、事務アシスタントの中でも一定のマネジメント経験や語学力がある人が採用されやすいと言えるでしょう。
最も転職者の成功割合が多い20代後半には及びませんが、35歳以上転職成功者の割合も確実に高まってきています。年齢制限を気にして転職に踏み切れないでいる人は、自分のキャリアプランを再度見直して、転職を前向きに考えても良いのではないでしょうか。