教員から民間企業に転職する方法

教員から民間企業への転職を成功させる方法・メインイメージ

安定した職業というイメージのある教員ですが、実際には退職する人も少なくありません。 他にやりたいことを見つけ、転職する教員もいれば、モンスターペアレンツや、いじめ問題等で精神疾患を理由に病気休職・退職する教員も。
教員の精神疾患による病気休職者数は、平成28年度の文部科学省の調査(「平成28年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」)によると4,891人(全教育職員の0.53%)であり、平成19年度以降、5,000人前後で推移。ここ3年は連続して減少しているものの、高止まりは続いているのが現状です。
ちなみに全体の病気休職者は7,758人となっており、このうち約6割を精神疾患が占めているということがわかります。

教員は、子どもたちと関わり、やりがいの多い仕事である一方で、仕事量の多さや保護者対応等のストレス・プレッシャーを感じている人も多く、心身の疾患を理由に休職する人や、「実際には自分の思っていた仕事と大きく異なっていた」「他にやりたい仕事が見つかった」等を理由に転職を考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで、今回の「転職相談」の特集では、教員の転職に注目。教員から民間企業へ転職する際のメリット・デメリット、教員におすすめの転職先に加え、教員からの転職を成功させるポイントやおすすめの転職エージェントについても解説しています
教員から民間企業への転職を検討している方は本特集をぜひチェックしてみてください。

引用元:平成28年度公立学校教職員の人事行政状況調査について|文部科学省

教員からの転職理由 教員から民間企業への転職を成功させる方法

教員からの転職理由・イメージ

まず、教員から民間企業へ転職する方の転職理由を見てみましょう。

教員からの転職理由で最も多いのは、「他にやりたい仕事が見つかったから」という理由。教員になるという夢を叶え、学校で働いてみたものの、実際には自分の思っていたものと大きく異なっていたという方や、教員の仕事に疑問を持ちつつ働いていたが、ある時、本当にやってみたい仕事が見つかったという方も多いはず。

このような仕事に対する「違和感」や、自分に他に向いている仕事があるのではないかという疑問から、自分の今後のキャリアを改めて見つめなおし、転職という決断に至るという流れは、教員だけでなく、他の仕事でも変わりません。

また教員の仕事は、他の仕事と比較しても労働時間が長い傾向があり、この過酷な労働環境が転職のきっかけになる方も少なくありません

教員の労働環境は、授業や学級運営等の通常業務に加え、部活動の指導やそれに伴う土日出勤、面談・保護者会といった保護者対応、授業準備・定期テストの採点等の持ち帰り仕事、運動会や文化祭等の学校行事というように、多岐に渡り、長時間労働が常態化しているのが現状です。

特に、教員の過酷な長時間労働は近年問題になってきており、なかには過労死ラインとされる、月80時間以上の残業を超える学校も。文部科学省の調査(「平成28年度教員勤務実態調査」)からひと月の労働時間を算出すると、小学校で228時間(残業68時間)、中学校で252時間(残業92時間)となっており、中学校では過労死ライン超えしていることがわかります。

また、公立学校の教員の場合、「公立学校の管理職以外の教員には、労働基準法第37条の時間外労働における割増賃金の規定が適用除外」(※1)となっています。校外学習、修学旅行、職員会議、非常災害の4つの業務においては、「全員一律に給料に4%の定率を乗じた額の教職調整額」(※2)が支給されていますが、例えば、部活動で土日に勤務した場合や、保護者対応等で勤務時間外に働いた場合には、残業代は支給されません
さらに、「モンスターペアレント」とも呼ばれ、社会問題化している生徒の保護者からの苦情対応、教員間での人間関係、生徒とのトラブル等に悩み、転職を検討するという方も。

このように転職理由は、人それぞれですが、現在の状況で働くことに大きな疑問を感じるのであれば、教員からの転職を検討するのは決して悪いことではありません。

以下に転職を検討すべき代表的な3つの理由をまとめました。

教員からの転職を検討すべき3つの理由

  • ほかにどうしてもチャレンジしてみたい仕事が見つかった場合
  • 精神的または肉体的に危険信号が出ている/限界を感じている場合
  • 教員の仕事をしていて成長できていない、得るものがない、幸福感がないと感じている場合

引用元:平成28年度教員勤務実態調査|文部科学省

※1, ※2 以下より引用:教員の勤務時間管理、時間外勤務、適切な処遇の在り方|文部科学省

教員から民間企業へ転職するメリットとデメリット・注意点 教員から民間企業への転職を成功させる方法

教員から民間企業へ転職するメリットとデメリット・注意点・イメージ

次に、教員から民間企業へ転職する場合のメリットとデメリット、注意すべき点を考えます。転職はあくまで手段です。教員から民間企業への転職を成功させるためにも、メリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。

教員から民間企業へ転職するメリット

教員から民間企業へ転職することで得られる最大のメリットは、労働環境の改善です。もちろん転職先の企業にもよりますが、長時間労働が常態化している「ブラック企業」に転職しない限りは、労働時間が減り、プライベートの時間が増えるはず。また部活動の指導に伴う土日出勤や、勤務時間内に終わらなかった授業準備・定期テストの採点等の持ち帰り仕事等がなくなる他、残業した場合は残業手当が支給されます。
さらに保護者の苦情対応、授業妨害・いじめといった学級問題や、生徒とのトラブル等の精神的負担が減るでしょう。

教員から民間企業へ転職するデメリットと注意点

教員から民間企業への転職は、メリットばかりではありません。メリットの裏側にあるデメリットや注意すべき点もしっかり理解しておきましょう。
教員から民間企業へ転職する際に考えられる最大のデメリットは、民間企業は業績によって給与が変動し、教員と比較すると不安定になる点でしょう。民間企業であれば、業績が悪化した場合には、減給やボーナスカット、状況によっては解雇もあり得ます。雇用の安定性という面では、教員に分があるのは間違いないでしょう。
そのほかに考えられるデメリットとしては、未経験職種へ転職する場合は、年収が下がってしまう点、業種や職種によっては、教師以上に残業がある点にも注意が必要です。
また、民間企業へ転職する際は、教員という仕事では求められなかった利益を出すことを意識する必要があるという点にも注意しましょう。民間企業は、会社を存続させるために、売り上げを上げ、利益を出し続けなければなりません。そのためには、売上アップや経費削減等、「お金」に対する意識が求められます。保護者対応や学級問題等の精神的負担は、教員から民間企業へ転職することで解消されることが考えられますが、民間企業には民間企業の厳しさがあり、プレッシャーがあるということを理解しておきましょう。

教員からの転職を成功させるポイントと主な転職先 教員から民間企業への転職を成功させる方法

教員からの転職を成功させるポイントと主な転職先・イメージ

教員から民間企業への転職を成功させるポイント

それでは、実際に教員から民間企業への転職を成功させるには、どうすればよいのでしょうか? 以下に、教員から民間企業への転職を成功させるポイントをまとめました。

「転職してどのような仕事がしたいか」「どんな働き方がしたいか」を明確にする

転職活動をするにあたって最も重要なことは、なぜ転職したいのかを起点として、「転職してどのような仕事がしたいか」「今後の働き方の希望」「自分が得意とすること・できることは何か」等をしっかりと考え、将来のビジョンを明確にすることです。

単に「教員の仕事がきついから転職したい」という思いだけでは、たとえ転職することができたとしても、新たな職場で異なる不満を感じ、また転職を繰り返すということもあり得ます。
希望の条件がすべて叶う職場はまずありません。自分が転職先に求める基準や、希望条件の優先順位をあらかじめ定めておくことも転職を成功させるポイントの一つです。

転職活動の時期が重要

教員の転職では転職活動の時期が重要です
通常、新卒採用の場合は4月入社となっていますが、中途採用の場合はこの限りではなく、一般的には、内定が出てから1~2カ月で転職するケースが多くなっています。しかし、教員の転職者は、学期・年度途中での退職はしない、つまり3月末での退職を前提に転職活動をおこなっている方が多く、転職時期の調整が非常に難しくなっています。また、公立学校に勤めている場合、勤務校が変わることもあり、次の勤務校が決まる前に退職願を出したいという方も。
これらの希望を叶える場合、翌年1月前後に内定が出て、4月入社が可能な民間企業に絞って転職活動に取り組んでいくと良いでしょう

転職先の企業で必要なスキルを身に付ける

転職先の企業で求められるスキルを身に付けておくことも、転職を成功させるポイントの一つ

例えば、国家資格を取得する、エンジニアスクールに通ってプログラミングスキルを身に付ける、簿記等の検定資格を取得する、英語力を武器にするためTOEICのスコアを取得する等、やりたい仕事に必要な資格やスキルを取得することで、熱意だけでなく、努力の結果をアピールすることができます。

また、社会人として最低限必要になるビジネスマナーをしっかり身に付けることも重要です。学校の中でビジネスマナーを実践する機会が少ないため、きちんとしたビジネスマナーを知らないという教員の方も多いことから、「教員はビジネスマナーが身についていない」というネガティブなイメージを持っている民間企業も。

ビジネスマナーは、転職面接では身に付いていて当然とみなされるため、マナー違反があると、当然マイナス評価になります。電話対応や名刺交換時のマナー、会社訪問時のマナー等、改めてビジネスマナーを確認しておきましょう。
さらに、教員から民間企業への転職を目指すのであれば、基本的なITスキルを習得していることも重要なポイントです。転職先の企業にも寄りますが、ほとんどの場合、Word(ワード)、Excel(エクセル)、Power Point(パワーポイント)等の日常の業務で必要となる基本的なソフトを使いこなすスキルが求められます。

教員の転職においては、応募書類や面接だけでは、「この人は何ができるか」を評価することが難しいという問題があります。

民間企業から民間企業への転職であれば、これまでに任されたプロジェクト内容や実績、地位や役職等、職務経歴書等の応募書類の段階で、ある程度やってきたことや能力が把握でき、面接ではそれらのプロジェクト等に対する取り組み方について聞くことも可能です。

しかし、教員の仕事は、経歴が特殊ということもあり、「どの経験がどういった業務にどう役立つのか」が上手く伝わらず、適正な評価を受けられないこともあるでしょう。
この問題に対処するためには、転職先の業務に役立つ資格やスキルが身に付いていることを客観的に証明すると共に、自分自身の経験が、新しい職場でどう役立つのかをしっかり考え、面接の場でしっかりアピールすることが大切です。

教員の主な転職先は?

次に、教員の転職先としては主にどういった業種・職種があるのかみていきましょう。

教育関係の仕事

教員としての経験や教員免許を活かして転職する場合に、転職先としてまず考えられるのは、教育関係の仕事でしょう。具体的には、学習塾や予備校の講師・事務スタッフ家庭教師などが考えられます。また、出版社の教材編集スタッフといった教材開発・販売の仕事も選択肢の一つ。他にも通信教育業界や、人材育成業界の企業も候補になるでしょう。

一般事務・営業

教育関係以外の企業に転職したいと考えている場合には、学校での事務経験がある方は事務職も考えられます。また、子どもだけでなく、保護者や地域の人々との折衝が得意だったという教員の方には営業職という選択肢も。

コミュニケーション能力を活かした職場

子どもや教職員だけでなく、保護者、地域の人々など、いろいろな人と接してきた教員は、コミュニケーション能力を活かせる販売・接客といったサービス業の仕事もおすすめです。具体的には、外食産業や、レジャー・アミューズメント産業等があげられます。

その他、教員の転職先としては、英語科教師の場合は、TOEICのスコアを取得し、貿易事務や英文事務等の英語力を活かした仕事に転職するという選択肢もあります。 また、IT関連に興味があるという方は、プログラミングスクールに通い、一定の知識と技術を身に付けたうえで、エンジニアとして就職するという方法も。近年、文系出身で活躍するエンジニアも増えてきており、現在は未経験からエンジニアへの就職・転職を保証するスクールもあります。

教員からITエンジニアへの転職を目指す方におすすめのエンジニアスクール

Web Camp Pro(ウェブキャンププロ)は、転職・就職保証付きの3カ月短期集中型プログラミングスクール。3か月の実践カリキュラム+3か月のキャリアサポートを組み合わせた制度を実施しており、受講完了後、3カ月以内でエンジニアになれなかった場合は受講料を全額返還してくれる。エンジニアへの就職(転職)成功率は約98%と非常に高いことから、教員から未経験のITエンジニアを目指す人は、ぜひチェックしておきたいプログラミングスクール。

所在地 東京都渋谷区神南1丁目19番11号パークウェースクエア24階 (※渋谷駅より徒歩8分)
料金 498,000円+税
(6カ月プログラム:学習期間3カ月+3カ月の転職サポート付き)
※分割払いの場合、月額23,220円+税~。
学習環境 11:00~22:00 ※土日祝日も営業
  • 教室での自主学習型(チーム開発あり)
  • 教室を自由に利用可能、通い放題
  • 講師が常駐

※無料カウンセリング、無料体験会あり

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教員の転職におすすめの転職サイト・転職エージェント 教員から民間企業への転職を成功させる方法

将来のキャリアプランが明確になり、志望企業や志望業界が定まった方は、転職サイトや転職エージェントを上手く活用し、転職活動に取り組んでいきましょう。特に、教員から民間企業への転職を目指す場合は、プロのキャリアアドバイザーから様々なサポートを受けることができる、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントでは、応募書類の添削や面接対策、非公開求人の紹介、年収交渉まで無料でサポートを受けることができます。

以下では、転職相談.jp編集部が教員の転職におすすめの転職サイト・転職エージェントをご紹介します。転職活動を効率的におこない、民間企業への転職を成功させるためにも、以下を参考に、自分に合った転職サイト・転職エージェントを見つけましょう!

リクナビNEXTは、転職者の約8割が利用する国内最大手の転職サイト。毎週約2,000件以上の求人が新着・更新されるため、常に最新の求人にアクセスできる。また、取扱い求人の業種・職種も幅広く、教員からの転職が多い、教育業界や一般事務、営業の仕事にも強い。またオファーと呼ばれる企業からのスカウトが届くサービスにも力を入れており、月間560万通以上のスカウトメールを配信している。

圧倒的な求人数と登録者数を誇り、スカウトサービスも充実したリクナビNEXTは、教員からの転職を目指すのであれば、まず登録しておくべき転職サイトであることは間違いない。

また、リクルートグループの転職エージェント「リクルートエージェント」は、非公開求人を中心に22万2,000件を超える求人を取り扱っており、転職のプロのアドバイスを受けながら転職活動を効率よく進めたい教員の方は、リクルートエージェントも合わせて利用するといいだろう。

求人数 新着・更新求人が毎週約2,000件以上
※2018年8月2日時点
得意分野 医薬・製薬業界のMRやMS、DMR、電気・機械業界のエンジニア、IT業界のSE・開発担当、営業職、一般事務 等多数
リクナビNEXTをおすすめする理由
  • 全業種を取り扱う豊富な求人数
  • スカウトサービス有。月間約560万通のスカウトメールを配信

dodaは、総合人材サービス「パーソルキャリア」が運営する転職サービス。dodaは、自己応募が中心になる転職サイトとしてのサービスに加え、転職のプロから模擬面接のサポート含め、応募書類の添削など様々な支援が受けられる転職エージェントとしてのサービスをワンブランドで提供。教育関連、一般事務、営業、レジャー関連等、教員の転職が多い業種の公開求人はもちろん非公開求人も充実。また、企業からのスカウトメールの配信数の多さにも定評がある。

転職サイトと転職エージェントのサービスを一元化して利用できるdodaは、自分のペースで求人を探しつつ、転職のプロからサポートを受けたいと考えている教員にとって、利用するメリットは大きい。うまく使いこなすことができれば、教員からの転職の成功率をぐっと上げることができるだろう。

求人数 約10万件(非公開求人を含む)
公開求人:5万6,635件以上
※2020年6月30日時点
拠点 札幌、仙台、東京(丸の内本社)、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡
得意分野 IT・Web業界、サービス業界、メーカー 等
dodaをおすすめする理由
  • 転職サイトと転職エージェントのサービスをワンブランドで提供
  • スカウトサービス有。月間約1,370万通のスカウトメールを配信

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求人数 ※2018年8月2日時点
拠点 札幌、仙台、つくば、東京(秋葉原)、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡
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Spring転職エージェントをおすすめする理由
  • 外資系企業、日系グローバル企業への転職に強い
  • IT・Web企業への転職にも強み
  • 利用者の満足度が高く、サポートの質の高さに定評あり

まとめ 教員から民間企業への転職を成功させる方法

まとめ・イメージ

教員から民間企業への転職を成功させる方法を解説した今回の特集はいかがでしたか?

転職においては、なぜ自分が転職したいのかをはじめ、自分がどのような働き方をしていきたいか、どのような仕事にやりがいを見出すのか等、将来のビジョンや自分のキャリアプランを再度検討し、明確にすることが非常に重要です。

これらを明確にすることで、志望動機が説得力のあるものになり、転職の成功率もぐっと上がるはず。また一人で転職活動に取り組むのではなく、転職エージェントのプロのキャリアアドバイザーを上手く活用することも心がけると良いでしょう。

転職はすることが目的ではなく、転職したあとこそが大切です。本特集を参考に、教員からの転職のポイントを理解し、民間企業への転職を成功させ、新しい職場での第一歩を踏み出しましょう!

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