転職でキャリアアップという幻想に注意!

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転職は人生の大きな岐路であり、転職理由は人それぞれ異なりますが、多かれ少なかれ、人は転職を通じて「キャリアアップ」したいと考えているものです

転職サイトや転職エージェントを見ても、転職を通じてキャリアアップしようというキャッチフレーズを掲げているケースは珍しくありません。つまりこの「キャリアアップ」というキーワードは、それだけ求職者の心に響く、キーワードと言えるでしょう。

ただ筆者はこれまでの自分自身の転職経験と、様々な求職者の転職相談を受け、転職の実現に携わってきた経験から、転職でキャリアアップという考え方は非常に危険であり、転職失敗の原因になりかねないと考えています

そこで今回の転職相談ニュースは「転職でキャリアアップという幻想に注意!」と題して、キャリアアップを目指した転職に失敗しないためのポイントをまとめました。

転職を通じたキャリアアップを目指している方は、是非チェックしてみてください。

転職でキャリアアップという幻想 その1
大企業への転職は比較的容易だが、キャリアアップのハードルは高い

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転職を通じたキャリアアップという言葉が浸透した背景の一つに、新卒では入社が難しかった企業に、転職を通じてリベンジできるケースが多いという点があります。

これは間違いなく事実であり、きちんとしたキャリアを積み重ね、現在の仕事である程度成果を出していれば、中小企業やベンチャー企業から大企業への転職という道は、十分に開かれています。(これは仕組みの中で仕事をする大企業に対して、自分で新しいことを「考える」というレベルが、大企業と比較すると中小企業、ベンチャー企業のほうが高いケースが多いからでしょう。)

その一方で大企業では、新卒で入社した社員を出世の際に優遇する仕組みが根強く存在するのも事実です。(一部大企業では、新入社員の時点で一定の選り分けが行われています。)

つまり本当の意味で、転職先でキャリアアップしようと思うのであれば、この壁を突破しなければいけません。そのためには新卒入社で長く勤めている社員と同じ結果を出していたのでは無理です。新卒入社の社員と圧倒的な差をつけ、企業から圧倒的な評価を勝ち取ってはじめて、新卒優遇の壁を突破し、キャリアアップすることができるのです。

中小企業やベンチャー企業では、この傾向が薄くなりますが、それでも新卒入社は何かと優遇されます。

中途入社の社員は即戦力として、期待を上回る結果を出して初めてキャリアアップできると憶えておきましょう。

転職でキャリアアップという幻想 その2
年収アップ=キャリアアップではない

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現在の職場の年収水準が低い場合や、あなたが培ってきたスキルを企業が高く評価した場合、転職を通じて年収がアップするケースも珍しくありません。

ただ年収がアップする転職が、必ずしもキャリアアップとは言えないと筆者は考えます。

そのためには年収がアップするという意味を考えなければいけません。企業側にとって、高い年収を出すということはどういうことでしょうか?

それはつまり、あなたを即戦力として期待しているということ。支払う給料以上の働きをあなたがしてくれると考えているということです。

この期待が大きければ大きいほど、結果に対する目は厳しくなります。ここでもしあまり良い結果が出なければ、そこから回復するのは容易ではないでしょう。

年収アップを目指すのは悪いこととは決して思いませんが、年収が高いということはそれだけの責任と結果を求められるということを認識し、転職後の仕事に向き合っていきましょう。

年収アップ分を考慮しても、この人に入社してもらって良かったと転職先から考えてもらうことができて初めて、転職でキャリアアップできたと言えるのです

転職でキャリアアップという幻想 その3
新しい人間関係を構築できてこそキャリアアップ

転職での一番の難関は、新しい職場で新しい人たちと良い人間関係を築くということです。どんなに仕事ができる人であっても、一人でできることには限界があり、誰かの力を借りて初めて自分の能力を超える結果を出せるもの。そのためには周りの協力が欠かせません。

社会人経験が一定以上ある人なら、人間関係を構築することがいかに難しいかを知っているはず。

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たとえあなたがどんなに卓越した能力を持っていても、どんなに優しくても、1週間や2週間で誰かの信頼を得ることは絶対にできません。それは人間関係構築のベースになる信頼は、足し算であり、一気にその値を増やすことができないからです。

本当の意味で人間関係(信頼関係)を築いていくためには、最低でも半年、普通は1年以上の期間をかけ、信頼を積み上げていく必要があります。

つまり本当の意味で転職に成功したと言えるかどうかは、1年経過してみたいとわからないということです。

その時点で新しい職場での良い人間関係を築き、自分一人でできること以上の結果を出せるようになっていれば、あなたは本当の意味でキャリアアップしたと言えるでしょう

以上3つが転職を通じたキャリアアップを目指す方が、最低限抑えておかなければいけない注意事項です。

筆者は転職を通じたキャリアアップを否定するわけではありません。ただ転職してそれでキャリアアップ完了というわけではなく、転職に成功した後こそが本当の意味でキャリアアップできるかどうかの正念場だということを、憶えておいていただければと思います。

その気持ちを忘れなければ、転職を通じたキャリアアップが成功する可能性を、ぐっと高めることができるはずです。